コロナ感染で脱毛症状

新型コロナの影響で脱毛が生じた・・・ということが話題になっていますが、突き詰めていけば食事が正常に摂られなくなったことにより、身体の様々な機能が低下し髪の毛がうまく作られなくなってしまったことによります。食事などによる栄養の摂りかたで育毛に差がついてしまいます。髪に悩む人たちは、少しでも良い状態(育毛に良い差をつけるために)になるように食生活面の注意しましょう。毛髪にとって良い食品、良くない食品、嗜好品などについて、いろいろあげていきたいと思います。ただし、普通の食生活や健康状態では、毛髪の成長速度やヘアサイクルは食べ物の影響をすぐに受けるものではないことと、食品に良い悪いというものはないことを初めに断っておきます。食べ物と男性型脱毛症の因果関係を証明したというものはありませんが、偏った食事を続けていると脱毛量が多くなったり、髪の元気がなくなってしまったことを経験した人はたくさんいると思います。「医食同源」というように、食べ物を見直したら体調が良くなったことを経験している人も多いと思います。健康がすべての基本であるということを頭の中に置き、髪が気になる人は食生活にも気をつけ、見直してみて下さい。

なるべく摂ったほうが良い食品

アミノ酸

 毛髪は何からできているかということからふり返ってみると、ケラチンという硫黄を含んだ硬いタンパク質の一種であり、それはアミノ酸からつくられています。その意味では、アミノ酸は毛髪にとっては大切な栄養分であるといえます。質の良い毛髪をつくるためには、原料の段階で考えなければならないことで、いかに質の良いアミノ酸を含むタンパク質を摂り入れるかが大切です。低栄養や、絶食、ダイエットなどで1000Kcal以下になると、タンパク質の不足により1~数ヶ月で休止期脱毛が起こることがあります。タンパク質を構成する約20種類のアミノ酸のうち、成人では、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン(含硫アミノ酸)、フェニルアラニン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン、バリンの8種類のアミノ酸は、体内で合成出来ませんので、食事から摂取する必要があり、必須アミノ酸と呼ばれています。小児、乳児では、ヒスチジンを含めた9種類のアミノ酸が、必須アミノ酸です。必須アミノ酸は、どれか一つでも少ないと、他のすべての必須アミノ酸の働きがそれに応じて効果的に働かなくなってしまいます。食べ物またはサプリメントで常に摂取しなければならないのです。このアミノ酸の構成を比較して、栄養価を数値で表したものに「アミノ酸スコア」というものがあります。100に近いものほどアミノ酸のバランスが良い食品で、一般的に、魚や卵、乳製品はアミノ酸スコアが高いので、これらの食品を積極的に摂取するようにしなければなりません。毛髪は18種類のアミノ酸でつくられています。中でも最も大切なのが「シスチン」というアミノ酸で、毛髪を丈夫に保つ働きをもっています。シスチンを多く含む食品はというと、牛、豚、鶏などの肉類や、卵、牛乳、ウニ、スジコ、カニ、カキ、アワビ、ピーナッツ、大豆、ジャガイモ、納豆、スピルリナなどがあげられます。これらのタンパク質は身体をつくるためにも大切なもので、いろいろなアミノ酸を含んでいます。コレステロールも多いものがありますので、これらの中から自分の体質に合っているものを選ぶようにして下さい。

ビタミン

 ビタミンもいろいろなものをバランスよく摂らなければなりません。ビタミンは過不足によりいろいろ影響が出てきます。特に美容ビタミンといわれるB2(リボフラビン)が不足すると、毛髪の新陳代謝が悪くなり、ヘアサイクルに異常がでたり、脱毛が起こってきたというような動物実験も報告されています。ミルク、ほうれん草、アルファルファ、ピーマン、レバー、酵母、チーズ、緑色葉野菜、魚、卵などに多く含まれています。ビタミンB6(ピリドキシン)も大切で、皮膚の抵抗力を強くしたり、炎症を防いだり、皮脂の分泌をおさえますが、不足すると脂漏性皮膚炎、湿疹、かぶれ、フケ、脱毛が起こりやすくなってきます。このビタミンB6はトラル酵母、ひまわりの種、小麦胚芽、レバー、米糠、豆類、くるみなどに多く含まれています。

ミネラル・亜鉛、銅亜鉛が不足するとタンパク質分解酵素はうまく働かず、タンパク質の分解が行われなくなってしまいます。しかし、髪に良いといわれる亜鉛でも、摂取量やミネラルバランスを無視して摂りすぎると、銅の不足を起こして脱毛が起こることがあります。ミネラルは体内で生成することが不可能で、近年の土壌劣化による食べ物の栄養素の減少で慢性的に不足傾向にある人が多いといわれています。かといって、たくさん摂取すればよいかというとそうではなく、ミネラルはもともと体内の構成比としては非常に微量な元素で、その必要量も非常に小さいため、過剰、欠乏の範囲がとても狭く、どちらにも陥りやすい傾向があるのです。つまり、不足しても過剰であっても人体への悪影響は深刻な問題となってきます。亜鉛はタンパク質や核酸、インシュリンの合成、新陳代謝の過程に不可欠なミネラルで、前立腺の働きを正常化し、生殖機能の発達に必要であり、生命維持に必要な多くの酵素の構成要素となっています。体内の化学反応に必要な酵素は3000以上あるといわれていますが、その中でも亜鉛により活性化される酵素は300以上もあり、とても大切なミネラルなのです。特に新しい細胞を作ったり、成長させる酵素とかかわりが深く、新陳代謝が激しい組織や細胞ほど亜鉛の不足が出やすくなります。亜鉛不足になると、舌の表面の味蕾の数が減って味が分からなくなったり、傷の治りが遅くなったり、精子の数の減少、円形脱毛症、脱毛などが起こってきます。亜鉛の必要量は一日15㎎ですが25㎎の摂取でも不足が見られたという報告もあります。亜鉛は男性の場合は前立腺に多く、1回の射精で1~7㎎、大量の汗で1~4㎎失われるといいますので、亜鉛と銅のバランスを摂りながら常に補給しておくことが必要です。亜鉛不足を補おうとしてサプリメントなどで過剰摂取をすると、今度は亜鉛に拮抗している銅や鉄などの不足を起こしてしまいます。特に銅は過剰、欠乏の範囲が非常に狭く、多過ぎても不足しても脱毛を起こし、不足は白髪にも関係してきます。亜鉛の摂り過ぎで銅とのバランスが崩れると、脱毛が起こってくることもあるのです。サプリメントの摂りかたは、何となく健康に良さそうだからとか、CMにつられてとか、流行だから、人に勧められてなどの理由で摂るのではなく、「毛髪ミネラル分析」で現在の自分の体の中のバランスがどのようになっているかを調べた上で摂ることが必要です。自分では十分に摂っているつもりでも、食事内容や、ポリリン酸やフィチン酸の摂取量や、汗の分泌、男性の場合はSEXの頻度など、いろいろな条件により不足していたり、過剰になっていることもあります。基本的にはサプリメントで摂る場合は「毛髪ミネラル分析」でチェックしてからにし、できるだけ食品で摂るほうがバランスが良く、他のミネラルも摂取できます。亜鉛はカキ、タラバガニ、しじみ、帆立貝、焼き海苔、カシューナッツ、アーモンド、スイカやかぼちゃの種子、肉類、玄米、ぬか、くるみ、ネギ、大豆、まいたけ、小麦、小麦胚芽、ゴマなどに多く含まれています。

海藻類

 髪に良い食べ物として、わかめ、コンブ、ヒジキなどの海藻類を摂ると毛が濃くなるといわれますが、これは海中に漂う海藻が黒髪を連想させるからで、これらの成分がメラニンをつくる働きを亢進することはありませんし、白髪になるメカニズムに影響を与えるというものでもありません。もし海藻類を食べてふさふさの黒髪になるのであれば、金髪も黒髪になれることになるので、迷信であるといえます。しかし、海藻にはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれていて、健康に対してはこれらのバランスを整える意味でとても良い食材といえます。脱毛には様々な原因・誘因があり、栄養バランスを失した食生活もその一つであり、髪の毛は健康が基本であることから、これらを摂ることは無意味ではありません。漢方では変質剤にあたり、食していると吹き出物やニキビができなくなり、髪がきれいになるとされています。またこれらのヌルヌルの粘質物に含まれるフコイダンは細胞の成長を促す肝細胞増殖因子のHGFを増やすことから育毛にも良いとされています。毛髪、爪、皮膚、歯の健康を増進するヨード(ヨウ素)が含まれているから良いともいわれます。しかし生キャベツを多量に食べる人でない限り、日本人は普通の食事をしていればヨードは十分に摂取されています。ですから医師の指示がない限り、サプリメントなどで摂ることは勧められません。

その他

 最近注目されているものとしてシナモンがあります。シナモンはニッケイの樹木の内樹皮から得られる爽やかな香りが特徴のスパイスで、桂皮ともよばれお菓子や料理に用いられています。体温を高め血行を促す作用があり、毛細血管の血流を改善するTie2(タイツー)という物質を活性化させてくれますので、頭皮の毛細血管はより活発に働くようになります。ただし過剰摂取(0.1mg/kg/day)と妊娠女性は要注意です。他にも血行を促進し冷えを改善するヒハツもおすすめです。

なるべく制限したほうがよい食品

塩分=Na(ナトリウム)に注意体内に塩分が過剰になると組織の機能障害を起こし、脱毛量を増したり高血圧や動脈硬化のもとになってしまいます。アメリカでは塩分を制限しただけで抜け毛の数がグンと減ったという報告もあります。調味料に酢、ビネガー、レモンなどを利用したり、カリウムの多い海藻類、野菜などを多めに摂れば塩分を減らすことが出来ます。また低塩しょうゆ、減塩味噌などを活用して、とにかく塩分を減らすよう努力して下さい。

香辛料・嗜好物  過ぎたるは及ばざるがごとし

唐辛子、七味、ワサビ、カレー、コーヒーなどは摂り過ぎると皮脂の分泌を多くしたり、胃腸障害を起こしやすくなったり、フケが多くなったり、毛髪の成長を妨げてしまいます。コーヒーの主成分のカフェインは中枢神経に直接働きかけ、思考がはっきりしたり、疲労が和らぐ感じがしたり、肝臓を刺激して蓄積された糖を排出したり、利尿強心作用をもっているので、適度に飲むことはさしつかえありません。しかし多く飲み過ぎると、神経が興奮状態になったり、蓄積された糖分を排出することにより内分泌系に大きなストレスを与えたり、各種ビタミンの働きを失効させたりします。これらが直接すぐに脱毛に関係してくるというより、常に大量のカフェインの刺激により交感神経が刺激され続けると、毛細血管の働きが悪くなり、まず健康状態に、次に皮膚の働きが悪くなり、その結果脱毛に関係してくると考えたほうが良いでしょう。一方でプラスに働く考え方として、ドイツのイエナ大学のピーター・エルスナー教授は、コーヒーはテストステロンの作用を抑えることができるので、脱毛防止のためには若いうちにカフェインを含む頭髪剤を塗るトリートメントをすることを勧めています。コーヒーポリフェノールのクロロゲン酸には抗酸化作用やコレステロールの低下作用があり、ニコチン酸(タバコのニコチンではありません。ビタミンB3)には脱毛の誘因である皮脂の酸化を防ぎ、血管拡張作用を持つことから高い育毛効果が期待できます。直接飲んでカフェインで効果を上げるには「一日60~80杯のコーヒー」が必要とあります(こんなに飲めませんが)。いずれにしてもコーヒーはせいぜいアメリカンで2~3杯位までとし、胃を荒らさないためにも飲み過ぎには注意したほうが良いようです。カフェインを直接頭皮に塗り、テストステロンを押さえる予防法として、シャンプーをコーヒーで泡立てたり、トリートメント剤にコーヒーを加える「コーヒーシャンプー」も開発されています。

アルコール 「百薬の長」されど「万病の元」

 適量のアルコールは血管を拡張し、血行を盛んにする働きがあり、ストレス解消にもなり、毛髪や皮膚のためには悪影響を与える心配はありません。とはいえ、度を越した飲酒は、ビタミンB1の消費を高めてしまい、毛髪の生育を妨げてしまいます。お酒を飲む時は、特にビタミンB1を多く含んでいるおつまみをとるように工夫しましょう。

タバコ 髪の毛よりも癌が心配 

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させて血液循環を悪化させます。また、一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合し、酸素運搬能力を低下させ、全身的な酸欠状態を引き起こしてしまいます。さらにタバコを一本吸うとビタミンCを25㎎消耗してしまいますので、たくさん吸う人はビタミンCを補給しないと毛細血管が弱ってしまいます。これらのことからも毛髪の発育や健康面には悪影響を与えていることがうかがえます。喫煙と男性ホルモンの関係を調べたハーバード大学公衆衛生学部の調査によると、喫煙がアンドロステンジオン(性ホルモンの前駆体。血漿中にも分泌され、末梢組織でテストステロンとエストロゲンに変換される)、テストステロン(男性ホルモンの一種)やジヒドロテストステロン(DHT)などのほとんどすべての主要な男性ホルモンを増加させることが分かったといいます。喫煙することにより脱毛をより促進したり、脱毛量を増加させる危険性があることを調査結果は示しています。特にDHTは脱毛量や脱毛のスピードを加速化させることから、関係ないということにはなりません。だからといって、禁煙すれば薄毛や脱毛が治るというものでもありません。ヘビースモーカーは皮膚の水分量が少なくなるため、潤いが無くなり、肌はカサカサして張りも無くなり、肌荒れが起こったりフケが多くなってくることがあります。皮膚の状態が悪化することは脱毛にも影響し、抜け毛も多くなってくるのです。

脂っこいもの 脂肪の摂りすぎ

これも適量であれば問題ないのですが、脂っこいものの摂り過ぎは、血液循環が悪くなり、毛髪の成長に必要な栄養の補給を妨害するだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの原因になってしまいます。毛穴のギトギト感も増すようになり、脂っぽいフケが毛穴をふさぎ、シャンプーを怠っていると雑菌が繁殖し、脂漏性皮膚炎に発展すると脂漏性脱毛症を引き起こしやすくなってしまいます。この場合は皮脂の成分が毛の発育を阻害しているのではなく、皮膚炎の悪化により毛根環境も悪化して病巣の毛が一時的に抜けることによりますので、男性型脱毛症にならない男性にも女性にも起こります。

甘味料 甘い誘惑が皮脂を多くすることに

甘いものを摂り過ぎると皮脂の分泌を増し、ニキビやフケの発生を促したり、体内で中性脂肪に変化して肥満の原因になったり、骨や歯を弱くして、自律神経の失調を起こしたりすることもあります。なるべく控えていた方が健康のため、髪のために良いのですが、人生には息抜きが必要なように、食生活においても甘いものは変化を生んでくれます。あまり神経質にならずに摂り過ぎに注意して食事を楽しんでください。最近は食品の種類が豊富になり、食べたいものを食べたい時に食べたいだけ摂るというような人が増えています。これらの食品の中には味や見かけを良くしたり、腐敗を防ぐなどの目的で、いろいろな食品添加物が含まれています。注意も必要です。

            

コロナと脱毛の関係

         ヘアーエステサロン・勇

         全理連へアカウンセラー

           毛髪ケア専修士

             渡辺勇男

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